インタビュー
小池さんとの出会いが、すべての始まりだった。
今年で第3回目を迎える表参道ごはんフェス。そのルーツについて今改めて、食のプロデュースチームhonshoku代表である平井 巧にインタビューを試みました。いつも一緒に仕事をしているテーブル越しの平井が、ちょっとだけ格好良く見えました。本当にちょっとだけ。
数年前まで、表参道にあるカフェで店長をしていたんです。そこでお米を仕入れようとした時、小池さんと出会いました。
原宿・表参道で唯一のお米屋さんであり、五ツ星お米マイスターとしても活躍する小池精米店・小池理雄さん。そこでの出会いが、のちに表参道ごはんフェス開催へとつながります。
小池さんって、おもしろいんですよ(笑)普通、お米を仕入れるために呼んだらお米の話で終わりですよね。でも小池さんは「穏田の水車」の話をしてくれて。穏やかな田んぼと書く「穏田」という地名がいまだに残っていて、このあたりを葛飾北斎が「穏田の水車」というタイトルで画を描いて残していることなんかを、とつとつと話してくれました。
葛飾北斎 富嶽三十六景「穏田の水車」きっかけは、酔っぱらいトークから。
そこから小池さんとのお付き合いがスタート。「お米ゼミ」という小池さんが講師を務めるイベントを一緒に開催するなど、活動の幅を広げていったといいます。
でも、そういうイベントに集まってくれる人って「本当のお米好き」なんです。1年くらい経ったある時小池さんと飲みながら、そういう人たち以外ごはんを楽しそうに食べている人が少ないよね、という話になって。自分の周りでも炊きたてのごはんを食べる習慣さえ減ってきているように感じていましたし。
そういう、お米に対して意識の低い人たちに向けてなにかアクションを起こしたいという想いから「表参道でごはんのフェスをやったらどうだろう」。そんな話で盛り上がったそう。最初はただの酔っぱらいトークだった、と平井は笑います。
完全に、妄想ですよね(笑)でもその妄想をいろんな人に話していたら、手を挙げてくれる人が増えてきて、だんだん現実味を帯びてきたんです。
表参道だから、やる意味がある。
「表参道」という地が持つ魅力も、開催へのバネとなったそう。
昔は稲作地帯であり、葛飾北斎という偉大なアーティストにも見初められた風光明媚な場所だったわけですよね。今は一転、たくさんのビルが立ち並ぶ流行の発信地で、国内外から多くの人が訪れる観光地。そこで日本のソウルフードである「お米」にスポットライトを当てることがおもしろいんじゃないか、と。東京の他の場所でやるのとは明らかに意味が違うな、と感じました。
次回へつづきます。お時間ある方はそのまま、ない方は電車や休憩等のスキマ時間にでもご覧下さい。
(取材・文:honshoku 高野 瞳)honshoku代表/東京農業大学 非常勤講師 平井 巧
SP広告代理店、IT関連会社を退社後、トータルフードプロデューサーとして活動。「表参道ごはんフェス」のほか、フードロスを考える「サルベージ・パーティ」を企画運営。昨年4月より東京農業大学にて多摩川流域のブランディングに取り組む「Resources Project」を立ち上げる。2015年、食のプロデュースチーム「honshoku」を結成。
http://honshoku.com/